武蔵野のをぐきが雉立ち別れ
去にし宵より背ろに逢はなふよ
- 歌の意味
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武蔵野の窪地の雉が飛び立つように、立ち別れて行ってしまったあの晩から、いとしい人に逢っていないことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3375
詞書は前の歌に続き「相聞」
武蔵野の窪地から飛び立つ雉のように別れて行った晩から、恋人に一度も逢っていないと嘆く女性の歌である。雉の飛び立つ鋭い動きが、突然の別れの印象を強めている。
武蔵国歌の一首である。「をぐき」は山の洞穴、または谷あいの窪地の意とされる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「武蔵野の」は前歌に続き武蔵野を詠む。武蔵国歌の三首が続けて「武蔵野」を初句に置く。
二句「をぐきが雉」の「をぐき」は窪地の意とされ、そこにいる雉をいう。初句と二句が「立ち」を導く序詞となる。
三句「立ち別れ」は雉が飛び立つことと、二人が別れることを重ねる。
四句「去にし宵より」の「去にし」は去って行ったの意で、「宵より」はあの晩からの意である。
結句「背ろに逢はなふよ」の「背ろ」は夫や恋人を親しんで呼ぶ東国方言、「なふ」は打消の東国方言である。「よ」は詠嘆である。
をぐき:窪地の意とされる
きぎし:雉の古名
せろ:夫や恋人を親しんで呼ぶ東国方言
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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武蔵野に占部肩焼きまさでにも 告らぬ君が名占に出にけり
- 次の歌
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恋しけば袖も振らむを武蔵野の うけらが花の色に出なゆめ