恋しけば袖も振らむを武蔵野の
うけらが花の色に出なゆめ
- 歌の意味
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恋しかったら袖でも振ろうものを、武蔵野のうけらの花のように、決して顔色に出してはならない。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3376
詞書は前の歌に続き「相聞」
恋しければ袖を振って合図もしよう、だから武蔵野のおけらの花のように恋心を顔に出さないでほしいと戒める歌である。人目を忍ぶ恋の慎重さが、地味で目立たない花の姿に託されている。
左注に或本の歌として「いかにして恋ひばか妹に武蔵野のうけらが花の色に出ずあらむ」を記す。武蔵国歌の一首である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「恋しけば」の「恋しけば」は恋しいならばの意の東国方言である。本巻の第三千四百五十五首も同じ初句で始まる。
二句「袖も振らむを」は袖を振って合図をしようの意で、「を」は逆接である。
三句「武蔵野の」は武蔵野を示し、前の二首に続いて武蔵野の歌が三首並ぶ。
四句「うけらが花の」の「うけら」はキク科のおけらで、白や薄紅の地味な花を咲かせる。本巻の第三千三百七十九首、第三千五百三首にも「うけらが花」が詠まれる。
結句「色に出なゆめ」の「色に出」は表情に表すこと、「な」は禁止、「ゆめ」は決しての意である。
うけら:キク科のおけら。地味な花を咲かせる
いろにづ:顔色や態度に表す
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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武蔵野のをぐきが雉立ち別れ 去にし宵より背ろに逢はなふよ
- 次の歌
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武蔵野の草葉もろ向きかもかくも 君がまにまに我は寄りにしを