埼玉の津に居る船の風をいたみ
綱は絶ゆとも言な絶えそね
- 歌の意味
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埼玉の船着き場にいる船が、風が激しいので綱が切れることはあっても、あなたの便りは絶やさないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3380
詞書は前の歌に続き「相聞」
埼玉の船着き場に泊まる船の綱が強風で切れることがあっても、あなたからの便りだけは絶やさないでほしいと願う歌である。綱の断ち切れる不安に、二人の仲の行く末を案じる気持ちが重ねられている。
武蔵国歌の一首である。埼玉は武蔵国埼玉郡で、現在の埼玉県行田市付近とされ、利根川に沿った津があったと考えられる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「埼玉の」は武蔵国埼玉郡で、現在の埼玉県の名のもとになった地名である。
二句「津に居る船の」の「津」は船着き場、「居る」はとどまっている意である。
三句「風をいたみ」の「を…み」は理由を表し、風が激しいのでの意である。
四句「綱は絶ゆとも」は船をつなぐ綱が切れることがあってもの意で、「とも」は逆接仮定である。
結句「言な絶えそね」の「言」は言葉、便りで、「な…そね」は禁止の願いである。第三千三百七十八首の「我にな絶えそね」と同じく絶えないことを願って結ぶ。
つ:船着き場
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子をあどかも言はむ武蔵野の うけらが花の時なきものを
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夏麻引く宇奈比をさして飛ぶ鳥の 至らむとぞよ我が下延へし