夏麻引く宇奈比をさして飛ぶ鳥の
至らむとぞよ我が下延へし
- 歌の意味
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宇奈比を目指して飛ぶ鳥のように、あなたのもとに行き着こうと、私はひそかに心に思っていたのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3381
詞書は前の歌に続き「相聞」
宇奈比を目指してまっすぐに飛ぶ鳥のように、いつかあなたのもとに行き着こうと心の中で思い続けていたと打ち明ける歌である。鳥の一途な飛翔に、秘めた恋の確かさが託されている。
左注に「右九首武蔵国歌」とあり、武蔵国歌の最後の一首である。宇奈比は所在未詳の地名で、海辺の地とする説がある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「夏麻引く」は「う」の音で始まる地名にかかる枕詞で、本巻巻頭の第三千三百四十八首と同じ初句である。巻頭歌と同じ枕詞を武蔵国歌の結びに置く。
二句「宇奈比をさして」の「宇奈比」は地名で、「さして」は目指しての意である。
三句「飛ぶ鳥の」はまっすぐに飛ぶ鳥で、初句からここまでが「至らむ」を導く序詞となる。
四句「至らむとぞよ」の「とぞよ」は強い指示と詠嘆で、行き着こうとこそと強調する。
結句「我が下延へし」の「下延へ」は心の中でひそかに思うことで、第三千三百七十一首の「下ばへ」と同じ語である。「ぞ」の結びとして連体形「し」で結ぶ。
うなひ:所在未詳の地名
したはふ:心の中でひそかに思う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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埼玉の津に居る船の風をいたみ 綱は絶ゆとも言な絶えそね
- 次の歌
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馬来田の嶺ろの笹葉の露霜の 濡れて我来なば汝は恋ふばぞも