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葛飾の真間の手児名がありしかば
真間のおすひに波もとどろに

歌の意味
葛飾の真間の手児名が生きていたころには、真間の磯辺に波がとどろくように、人々が騒ぎ立てたことだ。
鑑賞
巻第十四 東歌 3385

詞書は前の歌に続き「相聞」
 真間の手児名が生きていたころには、真間の磯に寄せる波のとどろきのように、男たちが騒ぎ立てたという歌である。伝説の美女をめぐる人々の熱狂を、波の音で印象的に表している。
 下総国歌の一首で、前歌に続いて真間の手児名を詠む。手児名の伝説は巻九の高橋虫麻呂の長歌にも詳しく語られている。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「葛飾の」は前歌と同じ初句で、葛飾の真間を示す。
 二句「真間の手児名が」は前歌の二句「真間の手児名を」と助詞だけが異なる句で、伝説の娘を主語とする。
 三句「ありしかば」は生きていたのでの意で、「しか」は過去、「ば」は確定条件である。
 四句「真間のおすひに」の「おすひ」は難解な語で、磯辺の意とする説がある。
 結句「波もとどろに」の「とどろに」は鳴り響くさまで、波のとどろきに人々の騒ぎを重ねる。下に「騒きき」などが省略された余情のある結びである。

おすひ:磯辺の意とする説がある
とどろに:音高く鳴り響くさま
出典
万葉集
前の歌
葛飾の真間の手児名をまことかも 我れに寄すとふ真間の手児名を
次の歌
にほ鳥の葛飾早稲をにへすとも その愛しきを外に立てめやも