さ衣の小筑波嶺ろの山の崎
忘ら来ばこそ汝を懸けなはめ
- 歌の意味
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筑波山の山の端を過ぎて、もし忘れて来たのなら、お前を心にかけないでいようが、忘れることなどできない。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3394
詞書は前の歌に続き「相聞」
筑波山の山の端を回って旅を続けるが、ふるさとの恋人を忘れることができたなら心にかけずにいられるのに、とうたう歌である。忘れられない思いを、反実仮想のような言い回しで裏返しに表している。
常陸国歌の一首である。小筑波は筑波山の愛称とされ、本巻では第三千三百九十五首、第三千三百九十六首も「小筑波」で始まり、三首が並ぶ。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「さ衣の」の「さ衣」は「緒」の同音から「小筑波」にかかる枕詞とされる。
二句「小筑波嶺ろの」の「小」は親しみを表す接頭語で、「嶺ろ」は峰の東国方言である。次の二首も「小筑波」を詠む。
三句「山の崎」は山の突き出たところ、山の端をいう。旅の途中で筑波山の山の端を回ることを示す。
四句「忘ら来ばこそ」の「忘ら」は「忘れ」の東国方言、「こそ」は係助詞で、結句の已然形「め」と呼応する。
結句「汝を懸けなはめ」の「懸けなは」は「懸けず」の東国方言で、心にかけない意である。「め」は「こそ」の結びとなる。
さごろもの:「小筑波」にかかる枕詞とされる
かく:心にかける、思う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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筑波嶺のをてもこのもに守部据ゑ 母い守れども魂ぞ会ひにける
- 次の歌
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小筑波の嶺ろに月立し間夜は さはだなりぬをまた寝てむかも