なかまなに浮き居る船の漕ぎ出なば
逢ふことかたし今日にしあらずは
- 歌の意味
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なかまなに浮かんでいる船が漕ぎ出してしまったら、逢うことは難しい。今日でなければ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3401
詞書は前の歌に続き「相聞」
川に浮かぶ船が漕ぎ出してしまえば、もう逢うことはむずかしい、逢うなら今日しかないと別れの切迫をうたう女性の歌である。船出の直前の焦りと決意が、短い言葉に凝縮されている。
左注に「右四首信濃国歌」とあり、信濃国歌の最後の一首である。「なかまな」は千曲川の中の地名とする説、川の中ほどの意とする説などがあり、定説を見ない。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「なかまなに」の「なかまな」は所在未詳の地名、または川の中ほどの意とされる。
二句「浮き居る船の」は浮かんでとどまっている船で、出発を待つ船をいう。
三句「漕ぎ出なば」の「なば」は仮定で、漕ぎ出してしまったならばの意である。
四句「逢ふことかたし」は逢うことは難しいの意で、四句切れである。
結句「今日にしあらずは」の「ずは」は「…でなくては」の意で、今日でなければと倒置によって念を押して結ぶ。
なかまな:所在未詳の地名、または川の中ほどの意とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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信濃なる千曲の川のさざれ石も 君し踏みてば玉と拾はむ
- 次の歌
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日の暮れに碓氷の山を越ゆる日は 背なのが袖もさやに振らしつ