日の暮れに碓氷の山を越ゆる日は
背なのが袖もさやに振らしつ
- 歌の意味
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日の暮れに碓氷の山を越えて行く日には、いとしい人が袖をはっきりと振ってくれた。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3402
詞書は前の歌に続き「相聞」
夕暮れに碓氷峠を越えて旅立つ日、夫が袖をはっきりと振って別れを告げてくれたと、見送った妻がうたう歌である。山を越えて遠ざかる夫の姿と、確かに見えた袖の動きが、別れの記憶として鮮やかに残されている。
本歌から二十二首が上野国(現在の群馬県)の歌で、左注に「右廿二首上野国歌」とある。国別では最も多い。碓氷峠は上野と信濃の境にある峠で、東山道の難所として知られた。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「日の暮れに」は夕暮れ時をいい、別れの時刻の寂しさを示す。
二句「碓氷の山を」は上野と信濃の境の碓氷峠で、上野国歌の一首目に国境の峠が詠まれる。
三句「越ゆる日は」は峠を越えて行く日をいう。初句の「日」と三句の「日」が重なる。
四句「背なのが袖も」の「背なの」は夫を親しんで呼ぶ東国方言である。
結句「さやに振らしつ」の「さやに」ははっきりとの意で、「振らしつ」は振りなさったの意である。
せなの:夫を親しんで呼ぶ東国方言
さやに:はっきりと
- 出典
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万葉集
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なかまなに浮き居る船の漕ぎ出なば 逢ふことかたし今日にしあらずは
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我が恋はまさかも愛し草枕 多胡の入野の奥も愛しも