上つ毛野まぐはしまとに朝日さし
まきらはしもなありつつ見れば
- 歌の意味
-
上野のまぐはしまとに朝日が差すように、まぶしいことよ。こうしてずっと見ていると。
- 鑑賞
-
巻第十四 東歌 3407
詞書は前の歌に続き「相聞」
朝日の差す情景に寄せて、恋人と向き合っていると、まぶしくてまともに見られないとうたう歌である。輝く朝の光に、相手の美しさと自らのはにかみとが重ねられている。
上野国歌の一首である。「まぐはしまと」は地名とする説、美しい的(まと)の意とする説などがあり、定説を見ない。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「上つ毛野」は上野国の古名で、前歌と同じく上野の歌として始まる。
二句「まぐはしまとに」は難解な語で、地名とする説、美しい的とする説などがある。
三句「朝日さし」は朝日が差すことで、初句からここまでが「まきらはし」を導く序詞となる。
四句「まきらはしもな」の「まきらはし」はまぶしいの意で、「もな」は詠嘆である。四句切れである。
結句「ありつつ見れば」の「ありつつ」はずっとそのままでの意で、倒置によって見つめ続けることを示して結ぶ。
まきらはし:まぶしい
ありつつ:ずっとそのままで
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
上つ毛野佐野の茎立ち折りはやし 我れは待たむゑ来とし来ずとも
- 次の歌
-
新田山嶺にはつかなな我に寄そり はしなる子らしあやに愛しも