伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに
奥をなかねそまさかしよかば
- 歌の意味
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伊香保の山沿いの榛の林のように、深々と先々のことを気にかけなさるな。今さえよければ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3410
詞書は前の歌に続き「相聞」
伊香保の山沿いに広がる榛の林の根が深いように、行く末のことをあれこれ気に病むな、今がよければそれでよいとうたう歌である。将来の不安よりも現在の幸福を大切にする、おおらかな恋の姿勢がうかがわれる。
上野国歌の一首である。本巻の第三千四百三十五首にも「伊香保ろの沿ひの榛原」と同じ上の句があり、伊香保の榛原が恋の景物として親しまれていたことがわかる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「伊香保ろの」は前歌と同じく伊香保を詠む。上野国歌の中で伊香保の歌が続く。
二句「沿ひの榛原」の「沿ひ」は山に沿ったところ、「榛原」は榛の木の林である。初句と二句が「ねもころ」を導く序詞となる。
三句「ねもころに」の「ねもころに」は心をこめて、念入りにの意で、「根」の音を響かせる。
四句「奥をなかねそ」の「奥」は将来の意、「な…そ」は禁止である。
結句「まさかしよかば」の「まさか」は今、現在で、第三千四百三首の「まさかも愛し」と同じく「奥」と対をなす。「よかば」は「よくあらば」の東国方言である。
はりはら:榛の木の林
ねもころに:心をこめて、念入りに
まさか:今、現在
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伊香保ろに天雲い継ぎかぬまづく 人とおたはふいざ寝しめとら
- 次の歌
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多胡の嶺に寄せ綱延へて寄すれども あにくやしづしその顔よきに