多胡の嶺に寄せ綱延へて寄すれども
あにくやしづしその顔よきに
- 歌の意味
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多胡の峰に引き寄せる綱をかけて引き寄せようとしても、ああ悔しい、動かない。その顔だちがよいので。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3411
詞書は前の歌に続き「相聞」
多胡の峰に綱をかけて引き寄せようとしても動かないように、いくら言い寄ってもなびかない娘を嘆く歌である。美しい娘ほど手の届かないもどかしさが、おどけた調子でうたわれている。
上野国歌の一首で、第三千四百三首に続いて多胡の地名を詠む。四句には難解な語が含まれ、さまざまな解釈がある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「多胡の嶺に」は多胡の山で、第三千四百三首の「多胡の入野」と同じ地名である。
二句「寄せ綱延へて」は引き寄せるための綱を張っての意である。
三句「寄すれども」は引き寄せようとしてもの意で、恋人を口説くことを重ねる。初句からここまでが序詞である。
四句「あにくやしづし」の「あにくやし」はああ悔しいの意とされ、「しづし」は静かで動かないさまとされる難解な句である。
結句「その顔よきに」は顔だちがよいのでの意で、倒置によって娘がなびかない理由を最後に示す。
よせつな:引き寄せるための綱
しづし:静かで動かないさまとされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに 奥をなかねそまさかしよかば
- 次の歌
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上つ毛野久路保の嶺ろの葛葉がた 愛しけ子らにいや離り来も