上つ毛野久路保の嶺ろの葛葉がた
愛しけ子らにいや離り来も
- 歌の意味
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上野の久路保の峰の葛の葉が這い広がるように、いとしいあの子からいよいよ遠く離れて来てしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3412
詞書は前の歌に続き「相聞」
久路保の山に這い広がる葛の葉のように、旅を続けるほど恋人から遠ざかってしまうと嘆く歌である。どこまでも延びる葛の蔓が、恋人との距離がしだいに開いていく様子と重なっている。
上野国歌の一首である。久路保の嶺は現在の群馬県の赤城山とされる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「上つ毛野」は上野国の古名で、上野国歌の一首として始まる。
二句「久路保の嶺ろの」の「久路保の嶺ろ」は赤城山とされ、「ろ」は東国方言の接尾語である。
三句「葛葉がた」の「葛葉がた」は葛の葉が這い延びるさまとされる。初句からここまでが「離り」を導く序詞である。
四句「愛しけ子らに」の「愛しけ」は「愛しき」の東国方言で、いとしいの意である。
結句「いや離り来も」の「いや」はいよいよ、「離り来も」は離れて来てしまったの意で、「も」は詠嘆である。
くろほのねろ:赤城山とされる
くずはがた:葛の葉が這い延びるさまとされる
さかる:離れる、遠ざかる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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多胡の嶺に寄せ綱延へて寄すれども あにくやしづしその顔よきに
- 次の歌
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利根川の川瀬も知らず直渡り 波にあふのす逢へる君かも