上つ毛野伊奈良の沼の大藺草
外に見しよは今こそまされ
- 歌の意味
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上野の伊奈良の沼の大藺草のように、よそながら見ていたころよりも、今こそ思いがまさっている。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3417
詞書は前の歌に続き「相聞」
伊奈良の沼の大藺草のように、遠くから眺めていたころよりも、親しくなった今の方がいっそう恋しさがまさるとうたう歌である。恋が深まるにつれて思いがつのる心の動きが、素直に表されている。
本文に「柿本朝臣人麻呂歌集に出づ」と注があり、柿本人麻呂歌集にも収められていた歌とされる。上野国歌の一首である。伊奈良の沼は現在の群馬県邑楽郡板倉町付近とされる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「上つ毛野」は上野国の古名で、上野国歌の一首として始まる。
二句「伊奈良の沼の」は伊奈良の沼で、上野国歌には沼を詠む歌が続く。
三句「大藺草」は沼に生える大きな藺草で、初句からここまでが序詞となる。
四句「外に見しよは」の「外に見し」は関係のないものとして遠くから見ていたことをいう。
結句「今こそまされ」の「こそ」は係助詞で、已然形「まされ」と呼応する係り結びである。
おほゐぐさ:沼に生える大きな藺草
よそにみる:関係のないものとして遠くから見る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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上つ毛野可保夜が沼のいはゐつら 引かばぬれつつ我をな絶えそね
- 次の歌
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上つ毛野佐野田の苗のむら苗に 事は定めつ今はいかにせも