伊香保せよ奈可中次下思ひどろ
くまこそしつと忘れせなふも
- 歌の意味
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伊香保の背の君よ、〔二句は難訓〕、思いのたけを尽くしたと、忘れることなどしないことだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3419
詞書は前の歌に続き「相聞」
伊香保の地の恋人に呼びかけ、深く思い合ったことを決して忘れないとうたう歌と解されるが、二句が読み解けない難訓歌である。全体の意味も定まらず、万葉集でも屈指の難解な歌として知られる。
上野国歌の一首である。二句「奈可中次下」は古来訓が定まらず、仮名の行も欠けている。ここでは寛永版本の訓「なかなかしなに」によってローマ字を付した。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「伊香保せよ」は伊香保の地名に「せ」を添え、背の君よと呼びかけるとする説がある。伊香保の歌が続く。
二句「奈可中次下」は原文の漢字表記のまま伝わる難訓の句で、寛永版本は「なかなかしなに」と訓むが定説を見ない。
三句「思ひどろ」の「どろ」は「ども」の東国方言とする説があり、思うけれどもの意と解される。
四句「くまこそしつと」の「くま」は隅々まで、思いのたけの意とする説があり、「こそ」は強意である。
結句「忘れせなふも」の「なふ」は打消の東国方言で、忘れはしないの意である。「も」は詠嘆である。
なふ:打消を表す東国方言
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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上つ毛野佐野田の苗のむら苗に 事は定めつ今はいかにせも
- 次の歌
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上つ毛野佐野の舟橋取り離し 親は放くれど我は離るがへ