伊香保嶺に雷な鳴りそね我が上には
故はなけども子らによりてぞ
- 歌の意味
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伊香保の峰に雷よ鳴らないでおくれ。私には何の差しさわりもないけれど、あの子のためなのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3421
詞書は前の歌に続き「相聞」
伊香保の峰に雷が鳴らないでほしい、自分は平気だが、雷をこわがる恋人のためなのだと願う歌である。恋人を思いやる気持ちを、ちょっと照れたように理由を添えて表しているところがほほえましい。
上野国歌の一首である。伊香保の山は雷の多い地として知られ、第三千四百九首にも雷を思わせる語が見える。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「伊香保嶺に」は伊香保の峰をいい、伊香保の歌が続く。
二句「雷な鳴りそね」の「雷」は「かみ」と訓み、「な…そね」は禁止の願いである。二句切れである。
三句「我が上には」の「我が上」は私の身の上の意で、六音の字余りである。
四句「故はなけども」の「故」は理由、差しさわりの意で、「ども」は逆接である。
結句「子らによりてぞ」の「よりて」は理由を表し、あの子のためなのだと「ぞ」で強めて結ぶ。
かみ:雷
ゆゑ:理由、差しさわり
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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上つ毛野佐野の舟橋取り離し 親は放くれど我は離るがへ
- 次の歌
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伊香保風吹く日吹かぬ日ありと言へど 我が恋のみし時なかりけり