上つ毛野伊香保の嶺ろに降ろ雪の
行き過ぎかてぬ妹が家のあたり
- 歌の意味
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上野の伊香保の峰に降る雪のように、通り過ぎることができない。いとしい人の家のあたりは。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3423
詞書は前の歌に続き「相聞」
伊香保の峰に降る雪の「ゆき」から「行き」を導き、恋人の家のあたりはどうしても通り過ぎることができないとうたう歌である。降り積もる雪の白さと、立ち去りがたい恋心が重なっている。
左注に「右廿二首上野国歌」とあり、上野国歌二十二首の最後の一首である。「ろ」「よき」など東国方言が多く用いられている。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「上つ毛野」は上野国の古名で、上野国歌の結びの一首として始まる。
二句「伊香保の嶺ろに」は伊香保の峰で、第三千四百九首から続く伊香保の歌の最後である。
三句「降ろ雪の」の「降ろ」は「降る」、「よき」は「雪」の東国方言である。初句からここまでが「行き」を導く序詞となる。
四句「行き過ぎかてぬ」の「かてぬ」はできないの意で、四句切れの倒置である。
結句「妹が家のあたり」は八音の字余りで、倒置によって通り過ぎられない場所を最後に示して結ぶ。
よき:雪の東国方言
ゆきすぎかつ:通り過ぎることができる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伊香保風吹く日吹かぬ日ありと言へど 我が恋のみし時なかりけり
- 次の歌
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下つ毛野みかもの山のこ楢のす まぐはし子ろは誰が笥か持たむ