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会津嶺の国をさ遠み逢はなはば
偲ひにせもと紐結ばさね

歌の意味
会津の嶺のあるこの国は遠いので、もし逢えなくなったら思い出のよすがにしようと、紐を結んでおくれ。
鑑賞
巻第十四 東歌 3426

詞書は前の歌に続き「相聞」
 会津嶺のふるさとから遠く離れて逢えなくなったら、互いを偲ぶよすがにしようと、衣の紐を結んでほしいと願う歌である。紐を結び合う別れの習俗に、再会への願いがこめられている。
 本歌から三首が陸奥国(現在の福島県から東北地方にかけて)の歌で、左注に「右三首陸奥国歌」とある。会津嶺は現在の福島県の磐梯山とされる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「会津嶺の」は会津の山で、磐梯山とされる。陸奥国歌の一首目に会津の名が現れる。
 二句「国をさ遠み」の「さ」は接頭語、「を…み」は理由で、国が遠いのでの意である。
 三句「逢はなはば」の「なはば」は「ずば」にあたる東国方言で、逢えなくなったならばの意である。
 四句「偲ひにせもと」の「偲ひ」は思い慕うよすが、「せも」は「せむ」の東国方言である。
 結句「紐結ばさね」の「さね」は尊敬と願望で、紐を結んでくださいと結ぶ。

あひづね:会津の山。磐梯山とされる
しのひ:思い慕うよすが
出典
万葉集
前の歌
下つ毛野阿蘇の川原よ石踏まず 空ゆと来ぬよ汝が心告れ
次の歌
筑紫なるにほふ子ゆゑに陸奥の 可刀利娘子の結ひし紐解く