安達太良の嶺に伏す鹿猪のありつつも
我れは至らむ寝処な去りそね
- 歌の意味
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安達太良の山に伏す鹿や猪がいつも同じ寝床に戻るように、私はずっと通って行こう。寝床を離れないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3428
詞書は前の歌に続き「相聞」
安達太良山の鹿や猪がいつも同じ寝床に戻るように、自分も変わらず通って行くから、寝床を離れずに待っていてほしいと願う歌である。野の獣の習性に寄せた、山国らしい素朴な比喩である。
左注に「右三首陸奥国歌」とあり、陸奥国歌の最後の一首である。安達太良山は現在の福島県二本松市などにまたがる山である。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「安達太良の」は陸奥国の安達太良山で、本巻の第三千四百三十七首にも安達太良が詠まれる。
二句「嶺に伏す鹿猪の」の「鹿猪」は鹿や猪などの獣で、字余りの句である。初句と二句が序詞となる。
三句「ありつつも」はこのままずっとの意で、伊豆国歌の第三千三百六十首にも同じ語が見える。
四句「我れは至らむ」の「至らむ」は行き着こうの意で、武蔵国歌の第三千三百八十一首の「至らむとぞよ」と同じ語である。
結句「寝処な去りそね」の「寝処」は寝床で、「な…そね」は禁止の願いである。
しし:鹿や猪などの獣
ねど:寝床
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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筑紫なるにほふ子ゆゑに陸奥の 可刀利娘子の結ひし紐解く
- 次の歌
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遠江引佐細江のみをつくし 我れを頼めてあさましものを