足柄の安伎奈の山に引こ船の
後引かしもよここばこがたに
- 歌の意味
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足柄の安伎奈の山で引き下ろす船の後ろを引くように、後ろ髪を引かれることだ。こんなにも来がたいので。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3431
詞書は前の歌に続き「譬喩歌」
足柄の安伎奈山で造った船を引き下ろす時に後ろを引くように、恋人のもとから去りがたく後ろ髪を引かれる思いをうたった歌である。山で船を造る足柄の土地柄が比喩に生かされている。
本歌から三首が相模国の譬喩歌で、左注に「右三首相模国歌」とある。安伎奈の山は足柄山中の山とされる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「足柄の」は相模国の足柄で、第三千三百六十八首などと同じく「あしがり」と訓む。
二句「安伎奈の山に」は足柄山中の山とされる。
三句「引こ船の」の「引こ船」は「引く船」の東国方言で、山から船を引き下ろすことをいう。初句からここまでが序詞となる。
四句「後引かしもよ」の「後引かし」は後ろを引くこと、名残を惜しむことで、「もよ」は詠嘆である。
結句「ここばこがたに」の「ここば」はこんなにも、「こがたに」は来がたいのでの意とされる。
ひこふね:「引く船」の東国方言
ここば:こんなにも、たいそう
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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志太の浦を朝漕ぐ船はよしなしに 漕ぐらめかもよよしこさるらめ
- 次の歌
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足柄のわを可鶏山のかづの木の 我をかづさねも門さかずとも