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伊香保ろの沿ひの榛原我が衣に
着きよらしもよひたへと思へば

歌の意味
伊香保の山沿いの榛の林の染め色は、私の衣によく染まり似合うことだ。一重の衣だと思うと。
鑑賞
巻第十四 東歌 3435

詞書は前の歌に続き「譬喩歌」
 伊香保の榛で染めた色が自分の衣によく染まるように、恋人が自分にぴったりと寄り添うとうたう譬喩歌である。榛染めの衣という日常の品に、二人の結びつきのよさが託されている。
 上野国の譬喩歌の一首である。上の句は第三千四百十首「伊香保ろの沿ひの榛原ねもころに」と同じで、伊香保の榛原が繰り返し詠まれている。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「伊香保ろの」は伊香保を示し、第三千四百十首と同じ初句である。
 二句「沿ひの榛原」は山沿いの榛の林で、第三千四百十首の二句と同じである。榛の木の皮や実は染料とされた。
 三句「我が衣に」は私の衣にの意で、榛で染めた衣をいう。
 四句「着きよらしもよ」の「着きよらし」はよく染まり似合うの意とされ、「もよ」は詠嘆である。
 結句「ひたへと思へば」の「ひたへ」は一重の衣の意とされ、純粋な交わりをたとえるとする説がある。

はりはら:榛の木の林。榛は染料とされた
ひたへ:一重の衣の意とされる
出典
万葉集
前の歌
上つ毛野阿蘇山つづら野を広み 延ひにしものをあぜか絶えせむ
次の歌
しらとほふ小新田山の守る山の うら枯れせなな常葉にもがも