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陸奥の安達太良真弓はじき置きて
反らしめきなば弦はかめかも

歌の意味
陸奥の安達太良の弓を、弦を外して反らせたままにしておいたら、また弦をかけることができようか。
鑑賞
巻第十四 東歌 3437

詞書は前の歌に続き「譬喩歌」
 安達太良の弓の弦を外して反らせたまま放っておいたら、もう弦をかけられなくなるように、放っておかれた恋人の心も戻らなくなるだろうと戒める女性の歌とされる。弓の性質をよく知る土地の人らしい譬喩である。
 左注に「右一首陸奥国歌」とある。安達太良真弓は陸奥の安達太良山の檀(まゆみ)の木で作った弓で、名品として知られた。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「陸奥の」は陸奥国で、第三千四百二十七首に続いて陸奥の国名が詠まれる。
 二句「安達太良真弓」の「真弓」は檀の木で作った弓で、安達太良は第三千四百二十八首にも見える。
 三句「はじき置きて」は弦を外して置いての意で、字余りの句である。
 四句「反らしめきなば」の「反らしめ」は反らせたままにすることで、「きなば」は来たならばの意である。
 結句「弦はかめかも」の「はかめかも」は弦をかけられようかの意で、反語で結ぶ。

まゆみ:檀の木で作った弓
つら:弓の弦
はく:弓に弦をかける
出典
万葉集
前の歌
しらとほふ小新田山の守る山の うら枯れせなな常葉にもがも
次の歌
都武賀野に鈴が音聞こゆ可牟思太の 殿のなかちし鳥猟すらしも