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鈴が音の早馬駅家の堤井の
水を給へな妹が直手よ

歌の意味
鈴の音のする早馬の駅家の、堤で囲った井戸の水をください。娘さん、あなたのその手からじかに。
鑑賞
巻第十四 東歌 3439

詞書は前の歌に続き「雑歌」
 鈴を鳴らして早馬が行き交う駅家で、井戸の水を娘の手からじかに飲ませてほしいと頼む旅人の歌である。旅の途中の娘とのふれあいを、明るく親しげな調子でうたっている。
 雑歌の一首である。駅家は官道に置かれた宿駅で、公用の使者が駅鈴を鳴らして早馬を乗り継いだ。宴席などでうたわれた歌とみる説がある。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「鈴が音の」は駅鈴の音で、「早馬」にかかる枕詞的な用法である。前歌の「鈴が音」と同じ語で始まる。
 二句「早馬駅家の」の「早馬」は公用の使者が乗り継ぐ馬、「駅家」は宿駅である。
 三句「堤井の」の「堤井」は周りを堤で囲った井戸をいう。
 四句「水を給へな」の「給へな」はくださいの意で、願いを表す。四句切れである。
 結句「妹が直手よ」の「直手」はじかの手で、「よ」は経由を表し、手からじかにの意で結ぶ。

はゆま:公用の使者が乗り継ぐ早馬
うまや:官道に置かれた宿駅
つつみゐ:周りを堤で囲った井戸
出典
万葉集
前の歌
都武賀野に鈴が音聞こゆ可牟思太の 殿のなかちし鳥猟すらしも
次の歌
この川に朝菜洗ふ子汝れも我れも よちをぞ持てるいで子給りに