古典和歌stream

港の葦が中なる玉小菅
刈り来我が背子床の隔しに

歌の意味
港の葦の中に生えている美しい小菅を刈って来てください、あなた。寝床の仕切りにするために。
鑑賞
巻第十四 東歌 3445

詞書は前の歌に続き「雑歌」
 河口の葦の中に生える小菅を刈って来て、寝床の仕切りにしてほしいと夫に頼む女性の歌である。二人の寝所を整えようとする、親密な暮らしの一場面がうたわれている。
 雑歌の一首である。初句は四音の字足らずで、東歌らしい自由な音律を示す。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「港の」の「港」は河口の意で、四音の字足らずの句である。
 二句「葦が中なる」は葦の茂みの中にあるの意で、「なる」は所在を示す。
 三句「玉小菅」の「玉」は美称の接頭語で、美しい小菅をいう。
 四句「刈り来我が背子」の「刈り来」は刈って来ての意の命令で、「我が背子」は夫への呼びかけである。四句切れである。
 結句「床の隔しに」の「隔し」は仕切り、隔てとするものをいい、倒置によって目的を示して結ぶ。

みなと:河口
へだし:仕切り、隔てとするもの
出典
万葉集
前の歌
伎波都久の岡のくくみら我れ摘めど 籠にも満たなふ背なと摘まさね
次の歌
妹なろが使ふ川津のささら荻 葦と人言語りよらしも