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左奈都良の岡に粟蒔き愛しきが
駒は食ぐとも我はそとも追じ

歌の意味
左奈都良の岡に粟を蒔いて、いとしい人の馬がそれを食べても、私はしっと言って追い払ったりはしない。
鑑賞
巻第十四 東歌 3451

詞書は前の歌に続き「雑歌」
 岡に蒔いた粟を恋人の乗って来た馬が食べても、追い払いなどしないとうたう女性の歌である。馬に乗って通って来る恋人への深い思いが、畑仕事の言葉を借りて表されている。
 雑歌の一首である。左奈都良は所在未詳の地名とされる。相模国歌の第三千三百六十四首にも「箱根の山に粟蒔きて」と粟が詠まれる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「左奈都良の」は所在未詳の地名である。
 二句「岡に粟蒔き」は岡に粟を蒔いての意で、第三千三百六十四首と同じく粟蒔きがうたわれる。
 三句「愛しきが」は恋人のことで、「が」は連体格を示す。
 四句「駒は食ぐとも」の「食ぐ」は食べるの意、「とも」は逆接仮定である。
 結句「我はそとも追じ」の「そ」は馬を追う声、「追じ」は追うまいの意で、追い払わないと結ぶ。

たぐ:食べる
そ:馬などを追い払う声
出典
万葉集
前の歌
乎久佐男と乎具佐受家男と潮舟の 並べて見れば乎具佐勝ちめり
次の歌
おもしろき野をばな焼きそ古草に 新草交り生ひは生ふるがに