風の音の遠き我妹が着せし衣
手本のくだりまよひ来にけり
- 歌の意味
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遠く離れた妻が着せてくれた衣の、袂の縫い目がほつれてきてしまった。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3453
詞書は前の歌に続き「雑歌」
遠く離れた妻が着せてくれた衣の袂の縫い目がほつれてきたことに、旅の長さと妻との隔たりをしみじみ感じる歌である。衣のほつれという小さな発見に、望郷の思いがにじんでいる。
雑歌の一首である。衣を通して家の妻を思う発想は、第三千三百五十首の「君が御衣しあやに着欲しも」とも通い合う。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「風の音の」は風の音が遠く聞こえることから「遠き」にかかる枕詞である。
二句「遠き我妹が」の「我妹」は妻を親しんで呼ぶ語で、遠く離れた妻をいう。
三句「着せし衣」は妻が着せてくれた衣で、旅立ちの際に着せたものとされる。
四句「手本のくだり」の「手本」は袂、「くだり」は縫い目の筋をいう。
結句「まよひ来にけり」の「まよふ」は布の糸がほつれる意で、「にけり」は完了と詠嘆である。
かぜのとの:「遠き」にかかる枕詞
くだり:縫い目の筋
まよふ:布の糸がほつれる
- 出典
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万葉集
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おもしろき野をばな焼きそ古草に 新草交り生ひは生ふるがに
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庭に立つ麻手小衾今夜だに 夫寄しこせね麻手小衾