うつせみの八十言のへは繁くとも
争ひかねて我を言なすな
- 歌の意味
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世間の人々のさまざまな噂はうるさくても、言い返しきれずに私のことを口にしないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3456
詞書は前の歌に続き「相聞」
世間の噂がどれほどうるさくても、抗しきれずに私の名を口にしてしまわないでほしいと恋人に頼む女性の歌である。人目を忍ぶ恋の秘密を守ろうとする緊張が表されている。
相聞の一首である。恋人の名を人に明かすことを避ける当時の風習が背景にあり、武蔵国歌の第三千三百七十四首にも「告らぬ君が名」とある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「うつせみの」は「世」「人」などにかかる枕詞で、ここでは世間の人を導く。
二句「八十言のへは」の「八十言」は多くの言葉、噂で、「のへ」は「の葉」の東国方言とされる。
三句「繁くとも」は多くうるさくてもの意で、「とも」は逆接仮定である。
四句「争ひかねて」は言い争いきれずにの意で、噂に抗しきれないことをいう。
結句「我を言なすな」の「言なす」は言葉にして口に出すことで、「な」は禁止である。
うつせみの:「世」「人」などにかかる枕詞
やそことのへ:多くの言葉、噂
ことなす:言葉にして口に出す
- 出典
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万葉集
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恋しけば来ませ我が背子垣つ柳 末摘み枯らし我れ立ち待たむ
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うちひさす宮の我が背は大和女の 膝まくごとに我を忘らすな