あしひきの山沢人の人さはに
まなと言ふ子があやに愛しさ
- 歌の意味
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山の沢に住む人々は多いが、その多くの人がかわいいと言うあの子が、たまらなくいとしい。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3462
詞書は前の歌に続き「相聞」
山の沢に住む大勢の人々が口をそろえてかわいいと言う娘が、自分にはたまらなくいとしいとうたう歌である。皆に愛される娘を慕う気持ちと、競い合う相手の多さへのもどかしさがうかがわれる。
相聞の一首である。「人」「さは」の語を重ね、音の響き合いが軽快な調べを生んでいる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山沢人の」は山の沢に住む人々をいう。
三句「人さはに」の「さは」は多いの意で、二句の「人」を受けて重ねる。初句からここまでが序詞的に「人さはに」を導く。
四句「まなと言ふ子が」の「まな」はかわいいの意とされ、皆がかわいいと言う娘をいう。
結句「あやに愛しさ」の「あやに」は無性に、「愛しさ」は体言止めで、いとしさよと結ぶ。
やまさはびと:山の沢に住む人
さは:多い
まな:かわいいの意とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あぜと言へかさ寝に逢はなくにま日暮れて 宵なは来なに明けぬしだ来る
- 次の歌
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ま遠くの野にも逢はなむ心なく 里のみ中に逢へる背なかも