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ま遠くの野にも逢はなむ心なく
里のみ中に逢へる背なかも

歌の意味
遠く離れた野ででも逢ってほしいのに、思いやりもなく村の真ん中で逢うあなたであることよ。
鑑賞
巻第十四 東歌 3463

詞書は前の歌に続き「相聞」
 人目のない遠くの野で逢ってほしいのに、村の真ん中で平気で逢う恋人の無神経さをなじる女性の歌である。人目を恐れる女心と、それを気にかけない男とのすれ違いがうたわれている。
 相聞の一首である。雑歌の第三千四百四十一首と同じく「ま遠くの」の初句で始まる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「ま遠くの」の「ま」は接頭語で、遠く離れたの意である。第三千四百四十一首と同じ初句である。
 二句「野にも逢はなむ」の「なむ」は他者への願望で、逢ってほしいの意である。二句切れである。
 三句「心なく」は思いやりもなくの意である。
 四句「里のみ中に」の「み中」は真ん中で、人目の多い村の中をいう。
 結句「逢へる背なかも」の「背な」は恋人で、「かも」は詠嘆である。

みなか:真ん中
せな:夫や恋人を親しんで呼ぶ東国方言
出典
万葉集
前の歌
あしひきの山沢人の人さはに まなと言ふ子があやに愛しさ
次の歌
人言の繁きによりてまを薦の 同じ枕は我はまかじやも