左努山に打つや斧音の遠かども
寝もとか子ろが面に見えつる
- 歌の意味
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佐野山で打つ斧の音のように遠く離れているのに、共寝をしようというのか、あの子の顔が目に浮かんだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3473
詞書は前の歌に続き「相聞」
佐野山で木を打つ斧の音が遠くから聞こえるように、遠く離れているのに恋人の顔が目の前に浮かぶとうたう旅の歌である。遠い斧音と浮かぶ面影とが重なり、離れていても通う思いが表されている。
相聞の一首である。佐野山は上野国の佐野、または下野国の佐野とされ、上野国歌の第三千四百六首、第三千四百十八首、第三千四百二十首にも佐野が詠まれる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「左努山に」は佐野の山で、木を伐る場面を示す。
二句「打つや斧音の」の「斧音」は斧で木を打つ音で、初句と二句が「遠か」を導く序詞となる。
三句「遠かども」の「遠かども」は「遠けども」の東国方言で、遠いけれどもの意である。
四句「寝もとか子ろが」の「寝も」は「寝む」の東国方言で、共寝をしようと思ってかの意である。
結句「面に見えつる」は顔が目に見えたの意で、「か」の結びとして連体形「つる」で結ぶ。
をのと:斧で木を打つ音
おも:顔
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人妻とあぜかそを言はむしからばか 隣の衣を借りて着なはも
- 次の歌
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植ゑ竹の本さへ響み出でて去なば いづし向きてか妹が嘆かむ