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大君の命畏み愛し妹が
手枕離れ夜立ち来のかも

歌の意味
大君のご命令をおそれ多く受けて、いとしい妻の腕枕を離れ、夜のうちに旅立って来てしまったことだ。
鑑賞
巻第十四 東歌 3480

詞書は前の歌に続き「相聞」
 大君の命令を受けて、いとしい妻の腕枕を離れ、夜のうちに出立して来てしまったと嘆く歌である。防人などとして遠く旅立つ男の、公の務めと私の情との間の悲しみが表されている。
 相聞の一首である。「大君の命畏み」は万葉集の防人歌などに多く見られる句で、巻二十の防人歌と通い合う。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「大君の」は天皇をいい、公の務めを示して始まる。
 二句「命畏み」はご命令をおそれ多く受けての意で、「み」は理由を表す。
 三句「愛し妹が」の「愛し」は「愛しき」の東国方言で、六音の字余りである。
 四句「手枕離れ」は腕枕を離れての意で、共寝の床から離れることをいう。
 結句「夜立ち来のかも」の「夜立ち」は夜のうちに出立すること、「来の」は「来ぬ」の東国方言、「かも」は詠嘆である。

みこと:天皇のご命令
よだち:夜のうちに出立すること
出典
万葉集
前の歌
安可見山草根刈り除け逢はすがへ 争ふ妹しあやに愛しも
次の歌
あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に 物言はず来にて思ひ苦しも