麻苧らを麻笥にふすさに績まずとも
明日着せさめやいざせ小床に
- 歌の意味
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麻の糸を麻笥にたくさん紡がなくても、明日すぐ着るわけではないだろう。さあ、寝床においでよ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3484
詞書は前の歌に続き「相聞」
夜なべで麻の糸を紡ぐ女性に、そんなにたくさん紡がなくても明日着るわけではないのだから、さあ寝床においでと誘う男の歌である。働き者の妻をいたわりつつ誘う、親しい夫婦の情景がうたわれている。
相聞の一首である。麻糸を紡ぐ労働を背景にした作業歌とみる説があり、伎倍の第三千三百五十四首と同じく「小床」の語で結ぶ。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「麻苧らを」の「麻苧」は麻の繊維で、「ら」は接尾語である。
二句「麻笥にふすさに」の「麻笥」は紡いだ麻糸を入れる器、「ふすさに」はたくさんの意で、字余りの句である。
三句「績まずとも」の「績む」は麻などの繊維を紡いで糸にすることである。
四句「明日着せさめや」の「さめや」は反語で、明日着るわけではないだろうの意である。四句切れである。
結句「いざせ小床に」の「いざせ」はさあいらっしゃいの意で、寝床に誘って結ぶ。
をけ:紡いだ麻糸を入れる器
うむ:麻などの繊維を紡いで糸にする
をどこ:寝床
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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昼解けば解けなへ紐の我が背なに 相寄るとかも夜解けやすけ
- 次の歌
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剣大刀身に添ふ妹を取り見がね 音をぞ泣きつる手児にあらなくに