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愛し妹を弓束並べ巻きもころ男の
こととし言はばいや勝たましに

歌の意味
いとしい娘を争って、弓の握りを並べて競う、同じ年ごろの男との競い合いだというなら、ずっと私が勝つだろうに。
鑑賞
巻第十四 東歌 3486

詞書は前の歌に続き「相聞」
 いとしい娘をめぐって同じ年ごろの男と弓の腕を競うのなら、自分の方がはるかに勝つだろうにとうたう歌である。恋敵への対抗心と、思うように運ばない恋のもどかしさがうかがわれる。
 相聞の一首である。弓の競技で妻を争うことは、古代の妻争い伝説にも通じるものとされる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「愛し妹を」は愛しい妻をの意で、「愛し」は東国方言の形である。
 二句「弓束並べ巻き」の「弓束」は弓の握りで、そこに皮を巻いて並べることをいう。字余りの句である。
 三句「もころ男の」の「もころ男」は同じ年ごろの男、恋敵をいう。
 四句「こととし言はば」は事として言うならばの意で、仮定を表す。
 結句「いや勝たましに」の「まし」は反実仮想で、はるかに勝つだろうにと結ぶ。

ゆづか:弓の握り
もころを:同じ年ごろの男
出典
万葉集
前の歌
剣大刀身に添ふ妹を取り見がね 音をぞ泣きつる手児にあらなくに
次の歌
梓弓末に玉巻きかくすすぞ 寝なななりにし奥をかぬかぬ