遅速も汝をこそ待ため向つ峰の
椎の小やで枝の逢ひは違はじ
- 歌の意味
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遅くても早くても、お前を待っていよう。向かいの峰の椎の小枝が重なり合うように、逢うことは違えまい。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3493
詞書は前の歌に続き「相聞」
遅くても早くても、お前の来るのを待っていよう、向かいの峰の椎の枝が交わり合うように、きっと逢えるはずだとうたう歌である。必ず逢えるという信頼と、待ち続ける決意とが表されている。
相聞の一首である。左注に或本の歌として「遅速も君をし待たむ向つ峰の椎のさ枝の時は過ぐとも」を記す。或本では女性の立場の歌になっている。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「遅速も」は遅くても早くてもの意である。
二句「汝をこそ待ため」の「こそ」は係助詞で、已然形「ため」と呼応する。二句切れである。
三句「向つ峰の」は向かいの峰で、雑歌の第三千四百四十八首にも「向つ峰」が見える。
四句「椎の小やで枝の」の「小やで」は小さな枝とされ、字余りの句である。椎の枝が交わることから「逢ひ」を導く。
結句「逢ひは違はじ」の「じ」は打消意志で、逢うことは違えまいと結ぶ。
をそはや:遅いことと早いこと
やで:枝とされる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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小山田の池の堤にさす柳 成りも成らずも汝と二人はも
- 次の歌
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子持山若かへるでのもみつまで 寝もと我は思ふ汝はあどか思ふ