岡に寄せ我が刈る萱のさね萱の
まことなごやは寝ろとへなかも
- 歌の意味
-
岡に寄せて私が刈る萱の、さね萱のように本当に柔らかなあの子は、寝ようと言わないのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第十四 東歌 3499
詞書は前の歌に続き「相聞」
岡で刈る萱のしなやかさのように柔らかな娘は、共寝をしようと言ってくれないのだろうかとうたう歌である。萱の手触りに娘の柔らかさを重ねた、労働の場から生まれた恋の歌である。
相聞の一首である。萱刈りの作業の中でうたわれた歌とみる説がある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「岡に寄せ」は岡に寄せての意で、萱を刈り寄せることをいう。
二句「我が刈る萱の」は私が刈る萱の意である。
三句「さね萱の」の「さね萱」は萱の美称とされ、「さ寝」の意を響かせる。初句からここまでが序詞である。
四句「まことなごやは」の「なごや」は柔らかなものの意で、柔らかな娘をいう。
結句「寝ろとへなかも」の「寝ろ」は「寝よ」、「とへ」は「と言へ」の東国方言で、寝ようと言わないのかと結ぶ。
さねかや:萱の美称とされる
なごや:柔らかなもの
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
海原の根柔ら小菅あまたあれば 君は忘らす我れ忘るれや
- 次の歌
-
紫草は根をかも終ふる人の子の うら愛しけを寝を終へなくに