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一嶺ろに言はるものから青嶺ろに
いさよふ雲の寄そり妻はも

歌の意味
一つの峰のように一緒だと噂されているのに、青い峰にためらう雲のように、噂の妻とはまだ結ばれないことだ。
鑑賞
巻第十四 東歌 3512

詞書は前の歌に続き「相聞」
 二人は一つの峰のように一緒だと噂されているのに、実際には青い峰にたゆたう雲のように、噂の妻とはまだ結ばれていないとうたう歌である。噂と現実とのずれへのもどかしさが表されている。
 相聞の一首で、雲の一連の三首目である。前歌の「青嶺ろにたなびく雲のいさよひに」を受けて、同じ語を用いている。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「一嶺ろに」の「一嶺ろ」は一つの峰で、二人が一緒になったことをたとえる。
 二句「言はるものから」は言われているのにの意で、「ものから」は逆接である。
 三句「青嶺ろに」は前歌の初句と同じ語で、青い峰をいう。
 四句「いさよふ雲の」は前歌の「いさよひ」と同じ語で、ためらう雲をいう。
 結句「寄そり妻はも」の「寄そり妻」は噂で結びつけられた妻、「はも」は詠嘆である。

ひとねろ:一つの峰
よそりづま:噂で結びつけられた妻
出典
万葉集
前の歌
青嶺ろにたなびく雲のいさよひに 物をぞ思ふ年のこのころ
次の歌
夕さればみ山を去らぬ布雲の あぜか絶えむと言ひし子ろはも