夕さればみ山を去らぬ布雲の
あぜか絶えむと言ひし子ろはも
- 歌の意味
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夕方になると山を離れない布のような雲のように、どうして絶えることがあろうかと言ったあの子は、どうしているだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3513
詞書は前の歌に続き「相聞」
夕方になると山にかかって離れない布のような雲のように、二人の仲がどうして絶えようかと言ってくれた恋人を思い出す歌である。かつての誓いの言葉をなつかしむ心に、今の隔たりへの寂しさがにじんでいる。
相聞の一首で、雲の一連の四首目である。上野国歌の第三千四百三十四首と同じく「あぜか絶え」の句を用いる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「夕されば」は夕方になるとの意で、雲が山にかかる時刻を示す。
二句「み山を去らぬ」は山を離れないの意で、雲がとどまるさまをいう。
三句「布雲の」の「布雲」は布のようにたなびく雲で、初句からここまでが序詞である。
四句「あぜか絶えむと」の「あぜか」はなぜの意の東国方言で、どうして絶えようかという誓いの言葉である。
結句「言ひし子ろはも」の「はも」は詠嘆で、そう言ったあの子はどうしているだろうと思いやって結ぶ。
にのぐも:布のようにたなびく雲
あぜか:なぜかの意の東国方言
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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一嶺ろに言はるものから青嶺ろに いさよふ雲の寄そり妻はも
- 次の歌
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高き嶺に雲のつくのす我れさへに 君につきなな高嶺と思ひて