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汝が母に嘖られ我は行く青雲の
出で来我妹子相見て行かむ

歌の意味
お前の母に叱られて私は帰って行く。いとしい人よ、出て来ておくれ。顔を見てから行こう。
鑑賞
巻第十四 東歌 3519

詞書は前の歌に続き「相聞」
 恋人の家を訪ねたが母親に叱られて帰ることになり、せめて出て来て顔を見せてほしいと呼びかける男の歌である。娘の母に追い返される若者の姿がほほえましく、民謡らしい情景である。
 相聞の一首で、雲の一連の十首目である。娘の恋を見張る母は、常陸国歌の第三千三百九十三首「母い守れども」などにも詠まれる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「汝が母に」は相手の母にの意で、娘を守る母が登場する。
 二句「嘖られ我は行く」の「嘖られ」は叱られての意で、六音の字余りである。二句切れである。
 三句「青雲の」の「青雲」は青空にかかる雲で、「出で」にかかる枕詞である。
 四句「出で来我妹子」は出て来ておくれいとしい人よの意で、命令と呼びかけである。
 結句「相見て行かむ」は顔を見てから行こうの意で、「む」は意志である。

こる:叱る
あをくもの:「出づ」にかかる枕詞
出典
万葉集
前の歌
岩の上にいかかる雲のかのまづく 人ぞおたはふいざ寝しめとら
次の歌
面形の忘れむしだは大野ろに たなびく雲を見つつ偲はむ