烏とふ大をそ鳥のまさでにも
来まさぬ君をころくとぞ鳴く
- 歌の意味
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烏という大あわて者の鳥が、本当は来てくださらないあなたなのに、「来る来る」と鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3521
詞書は前の歌に続き「相聞」
烏というそそっかしい鳥が、実際には来ない恋人を「ころく(来る)」と鳴いて期待させると恨む女性の歌である。烏の鳴き声を聞き做した機知に、待つ女の切なさとおかしみがこもる。
相聞の一首である。本歌から鳥や獣を詠む歌がしばらく続く。武蔵国歌の第三千三百七十四首と同じく「まさでにも」の語を用いる。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「烏とふ」の「とふ」は「といふ」のつづまった形で、烏というの意である。
二句「大をそ鳥の」の「をそ」はあわて者、軽はずみの意で、烏をののしっていう。
三句「まさでにも」の「まさでに」ははっきりと、本当にの意で、第三千三百七十四首と同じ語である。
四句「来まさぬ君を」は来てくださらないあなたの意である。
結句「ころくとぞ鳴く」の「ころく」は烏の鳴き声を「子ろ来」と聞き做したもので、「ぞ」は係助詞である。
をそ:あわて者、軽はずみ
まさでに:はっきりと、本当に
ころく:烏の鳴き声を「子ろ来」と聞き做したもの
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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面形の忘れむしだは大野ろに たなびく雲を見つつ偲はむ
- 次の歌
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昨夜こそば子ろとさ寝しか雲の上ゆ 鳴き行く鶴の間遠く思ほゆ