昨夜こそば子ろとさ寝しか雲の上ゆ
鳴き行く鶴の間遠く思ほゆ
- 歌の意味
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昨夜こそあの子と共寝をしたのに、雲の上を鳴いて行く鶴のように、もう遠い昔のように思われる。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3522
詞書は前の歌に続き「相聞」
昨夜共寝をしたばかりなのに、雲の上を鳴き渡る鶴の声が遠く聞こえるように、ずいぶん前のことに思われるとうたう歌である。逢瀬の後のもどかしい心が、空高く遠ざかる鶴の姿に重ねられている。
相聞の一首である。前歌の烏に続いて鶴を詠み、次歌も鶴を詠む。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「昨夜こそば」の「昨夜」は「きぞ」と訓み、「こそば」は「こそ」の強めである。
二句「子ろとさ寝しか」の「しか」は「こそ」の結びの已然形で、共寝をしたのにと逆接的に続く。
三句「雲の上ゆ」の「ゆ」は経由を表し、雲の上を通っての意である。字余りの句である。
四句「鳴き行く鶴の」は鳴いて行く鶴で、次歌も鶴を詠む。三句と四句が「間遠く」を導く。
結句「間遠く思ほゆ」は間遠く、遠い昔のように思われるの意である。
きぞ:昨夜
たづ:鶴
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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烏とふ大をそ鳥のまさでにも 来まさぬ君をころくとぞ鳴く
- 次の歌
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坂越えて安倍の田の面に居る鶴の ともしき君は明日さへもがも