坂越えて安倍の田の面に居る鶴の
ともしき君は明日さへもがも
- 歌の意味
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坂を越えて安倍の田に降りている鶴のように、めったに逢えないあなたは、明日もまた来てほしい。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3523
詞書は前の歌に続き「相聞」
坂を越えて安倍の田に降りる珍しい鶴のように、めったに逢えない恋人に、明日もまた来てほしいと願う女性の歌である。鶴の珍しさに、まれにしか逢えない恋人のありがたさが重ねられている。
相聞の一首で、前歌に続いて鶴を詠む。安倍は駿河国の安倍郡、現在の静岡市付近とする説がある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「坂越えて」は坂を越えての意で、遠くから来ることを示す。
二句「安倍の田の面に」の「田の面」は田の表面、田んぼの意である。
三句「居る鶴の」は田に降りている鶴で、前歌の「鳴き行く鶴」に続く。初句からここまでが序詞である。
四句「ともしき君は」の「ともし」は珍しい、めったにないの意である。
結句「明日さへもがも」の「もがも」は願望で、明日もまた来てほしいと結ぶ。
たのも:田の表面、田んぼ
ともし:珍しい、めったにない
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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昨夜こそば子ろとさ寝しか雲の上ゆ 鳴き行く鶴の間遠く思ほゆ
- 次の歌
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まを薦の節の間近くて逢はなへば 沖つま鴨の嘆きぞ我がする