水鳥の立たむ装ひに妹のらに
物言はず来にて思ひかねつも
- 歌の意味
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水鳥が飛び立つように慌ただしい旅立ちの支度に紛れて、妻に何も言わずに来てしまい、思いに耐えかねることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3528
詞書は前の歌に続き「相聞」
水鳥が飛び立つような慌ただしい出立の準備に紛れて、妻に何も言わずに来てしまったことが悔やまれ、思いに耐えられないとうたう歌である。別れの言葉を交わせなかった後悔が、旅の空で胸を締めつけている。
相聞の一首で、水鳥の歌が続く。第三千四百八十一首「あり衣のさゑさゑしづみ家の妹に物言はず来にて思ひ苦しも」と四句が同じで、同じ発想の歌である。巻二十の防人歌にも類歌がある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「水鳥の」は水鳥が飛び立つことから「立つ」にかかる枕詞である。
二句「立たむ装ひに」は旅立とうとする支度の意で、慌ただしい出立をいう。
三句「妹のらに」の「のら」は親しみを表す接尾語とされ、妻にの意である。
四句「物言はず来にて」は何も言わずに来ての意で、第三千四百八十一首と同じ句である。八音の字余りである。
結句「思ひかねつも」は思いに耐えかねるの意で、第三千四百七十五首と同じ結句である。
みづとりの:「立つ」などにかかる枕詞
よそひ:支度、準備
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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沖に住も小鴨のもころ八尺鳥 息づく妹を置きて来のかも
- 次の歌
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等夜の野に兎ねらはりをさをさも 寝なへ子ゆゑに母に嘖はえ