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等夜の野に兎ねらはりをさをさも
寝なへ子ゆゑに母に嘖はえ

歌の意味
等夜の野で兎をねらうように、ろくに共寝もしていない娘のために、その母に叱られてしまった。
鑑賞
巻第十四 東歌 3529

詞書は前の歌に続き「相聞」
 等夜の野で兎をねらうように娘をねらったが、ろくに共寝もしていないのに母親に叱られてしまったとぼやく男の歌である。「をさぎ」と「をさをさ」の音を重ねたおかしみがあり、民謡らしい滑稽味がある。
 相聞の一首である。等夜は所在未詳の地名である。娘の母に叱られる若者は、第三千五百十九首の「汝が母に嘖られ我は行く」にも詠まれる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「等夜の野に」は所在未詳の野で、地名を示して始まる。
 二句「兎ねらはり」の「をさぎ」は兎の東国方言、「ねらはり」はねらっての意である。初句と二句が序詞となる。
 三句「をさをさも」の「をさをさ」はほとんど、ろくにの意で、二句の「をさぎ」と音を重ねる。
 四句「寝なへ子ゆゑに」の「なへ」は打消の東国方言で、共寝していない娘のためにの意である。
 結句「母に嘖はえ」の「嘖はえ」は叱られての意の東国方言で、第三千五百十九首の「嘖られ」と同じ語である。

をさぎ:兎の東国方言
をさをさ:ほとんど、ろくに
ころふ:叱る
出典
万葉集
前の歌
水鳥の立たむ装ひに妹のらに 物言はず来にて思ひかねつも
次の歌
さを鹿の伏すや草むら見えずとも 子ろが金門よ行かくしえしも