妹をこそ相見に来しか眉引きの
横山辺ろの獣なす思へる
- 歌の意味
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私はいとしい人に逢いに来たのに、横山のあたりの獣のように、人は私を思っていることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3531
詞書は前の歌に続き「相聞」
恋人に逢いに来ただけなのに、横山のあたりにいる獣のように家の者から見られていると嘆く男の歌である。娘の家族から警戒される若者の不満が、獣のたとえでおかしみをこめて表されている。
相聞の一首である。前の第三千五百三十首の鹿に続いて獣を詠み、本歌から馬の歌がまとまって続く前の位置にある。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「妹をこそ」の「こそ」は係助詞で、二句の已然形「しか」と呼応する。
二句「相見に来しか」は逢いに来たのにの意で、「こそ」の結びとして逆接的に続く。
三句「眉引きの」は眉を引いたような曲線から「横山」にかかる枕詞である。
四句「横山辺ろの」は横に長く延びた山のあたりで、「ろ」は東国方言の接尾語である。
結句「獣なす思へる」の「獣」は鹿や猪などの獣、「なす」はのようにの意で、八音の字余りである。
まよびきの:「横山」にかかる枕詞
しし:鹿や猪などの獣
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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さを鹿の伏すや草むら見えずとも 子ろが金門よ行かくしえしも
- 次の歌
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春の野に草食む駒の口やまず 我を偲ふらむ家の子ろはも