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人の子の愛しけしだは浜洲鳥
足悩む駒の惜しけくもなし

歌の意味
人の娘をいとしく思う時には、浜の洲の鳥のように足を痛めた馬であっても、惜しいとは思わない。
鑑賞
巻第十四 東歌 3533

詞書は前の歌に続き「相聞」
 恋人をいとしく思う時には、馬が足を痛めて歩きなずんでも惜しいとは思わず、逢いに行くとうたう歌である。馬を酷使しても恋人のもとへ急ぐ、ひたむきな恋の情熱が表されている。
 相聞の一首で、馬の歌が続く。浜洲鳥は浜の洲を歩く鳥で、足を取られて歩きにくいことから「足悩む」にかかる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「人の子の」は人の娘で、他家の娘をいう。
 二句「愛しけしだは」の「愛しけ」は「愛しき」、「しだ」は時の意の東国方言である。
 三句「浜洲鳥」は浜の洲を歩く鳥で、「足悩む」にかかる枕詞である。
 四句「足悩む駒の」の「足悩む」は足を痛めて歩きにくいこと、八音の字余りである。
 結句「惜しけくもなし」の「惜しけく」は惜しいことの意で、惜しいとも思わないと結ぶ。

はますどり:浜の洲を歩く鳥。「足悩む」にかかる枕詞
あなゆむ:足を痛めて歩きにくくなる
出典
万葉集
前の歌
春の野に草食む駒の口やまず 我を偲ふらむ家の子ろはも
次の歌
赤駒が門出をしつつ出でかてに せしを見立てし家の子らはも