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赤駒を打ちてさ緒引き心引き
いかなる背なか我がり来むと言ふ

歌の意味
赤い馬に鞭を打って手綱を引くように、人の心を引いて、いったいどういう男が私のもとに来ようと言うのか。
鑑賞
巻第十四 東歌 3536

詞書は前の歌に続き「相聞」
 赤い馬に鞭を当て手綱を引くように、人の心を引いておいて、どういうつもりの男が私のところへ来ようと言うのかとなじる女性の歌である。思わせぶりな男への反発と、まんざらでもない気持ちとがうかがわれる。
 相聞の一首で、馬の歌が続く。第三千五百三十四首に続いて「赤駒」を詠む。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「赤駒を」は赤毛の馬で、第三千五百三十四首に続いて赤駒が詠まれる。
 二句「打ちてさ緒引き」の「さ緒」は手綱で、「引き」は手綱を引くことである。初句と二句が序詞となる。
 三句「心引き」は心を引きつけての意で、二句の「引き」を重ねる。
 四句「いかなる背なか」はどういう男かの意で、「か」は疑問である。
 結句「我がり来むと言ふ」の「がり」は人のもとへの意で、第三千三百五十六首の「妹がり」と同じ語である。字余りの句である。

さを:手綱
がり:人のいるところ、もと
出典
万葉集
前の歌
己が命をおほにな思ひそ庭に立ち 笑ますがからに駒に逢ふものを
次の歌
くへ越しに麦食む小馬のはつはつに 相見し子らしあやに愛しも