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左和多里の手児にい行き逢ひ赤駒が
足掻きを速み言問はず来ぬ

歌の意味
左和多里の娘に行き逢ったが、赤い馬の足どりが速いので、言葉もかけずに来てしまった。
鑑賞
巻第十四 東歌 3540

詞書は前の歌に続き「相聞」
 左和多里の娘に道で出逢ったのに、乗っていた赤い馬の足が速くて、言葉もかけずに通り過ぎてしまったと悔やむ歌である。すれ違いざまの一瞬の出逢いと、それを逃した残念さが表されている。
 相聞の一首で、馬の歌が続く。左和多里は所在未詳の地名で、上野国とする説がある。第三千五百三十四首、第三千五百三十六首に続いて「赤駒」を詠む。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「左和多里の」は所在未詳の地名である。
 二句「手児にい行き逢ひ」の「手児」は娘、「い」は接頭語で、娘に行き逢っての意である。字余りの句である。
 三句「赤駒が」は赤毛の馬で、第三千五百三十四首、第三千五百三十六首と同じ語である。
 四句「足掻きを速み」の「足掻き」は馬の足の動き、「を…み」は理由で、足どりが速いのでの意である。
 結句「言問はず来ぬ」の「言問ふ」は言葉をかけることで、言葉もかけずに来てしまったと結ぶ。

あがき:馬の足の動き
こととふ:言葉をかける
出典
万葉集
前の歌
あずの上に駒を繋ぎて危ほかど 人妻子ろを息に我がする
次の歌
あずへから駒の行ごのす危はとも 人妻子ろをまゆかせらふも