鳴る瀬ろにこつの寄すなすいとのきて
愛しけ背ろに人さへ寄すも
- 歌の意味
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音を立てて流れる瀬に木屑が寄せられるように、とりわけいとしいあの人に、他の女まで寄って来ることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3548
詞書は前の歌に続き「相聞」
早瀬に木屑が寄せ集まるように、とりわけいとしい恋人に、ほかの女までが言い寄って来ると気をもむ女性の歌である。恋敵への不安が、川に寄る木屑の比喩で表されている。
相聞の一首である。「寄す」を二句と結句に重ね、川の景と人の世とを対応させている。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「鳴る瀬ろに」の「鳴る瀬ろ」は音を立てて流れる瀬で、「ろ」は東国方言の接尾語である。
二句「こつの寄すなす」の「こつ」は木屑、「寄すなす」は寄せられるようにの意である。初句と二句が序詞となる。
三句「いとのきて」の「いとのきて」はとりわけの意である。
四句「愛しけ背ろに」の「愛しけ」は「愛しき」の東国方言、「背ろ」は恋人を親しんで呼ぶ東国方言である。
結句「人さへ寄すも」は人までが寄って来るの意で、二句の「寄す」と呼応する。「も」は詠嘆である。
こつ:木屑
いとのきて:とりわけ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あぢの棲む須沙の入江の隠り沼の あな息づかし見ず久にして
- 次の歌
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多由比潟潮満ちわたるいづゆかも 愛しき背ろが我がり通はむ