おしていなと稲は搗かねど波の穂の
いたぶらしもよ昨夜ひとり寝て
- 歌の意味
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強いていやだと稲をつくのを断ったわけではないけれど、波頭のように心が揺れ騒ぐことだ。昨夜ひとりで寝て。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3550
詞書は前の歌に続き「相聞」
強く拒んだわけでもないのに、昨夜はひとりで寝ることになり、波頭が騒ぐように心が乱れてならないとうたう女性の歌である。稲つきの作業歌の調子を借りて、共寝できなかった夜の心の騒ぎを表している。
相聞の一首である。稲つきの作業の中でうたわれた歌とみる説があり、第三千四百五十九首の「稲つけばかかる我が手を」と同じく稲つきを詠む。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「おしていなと」の「おして」は強いて、「いな」は拒む語で、字余りの句である。
二句「稲は搗かねど」は稲はついていないけれどの意で、「稲」と「いな」の音を重ねる。
三句「波の穂の」の「波の穂」は波頭で、揺れ騒ぐことから「いたぶる」を導く。
四句「いたぶらしもよ」の「いたぶらし」は激しく揺れ動く意で、四句切れである。
結句「昨夜ひとり寝て」の「昨夜」は「きぞ」と訓み、倒置によって心が騒ぐ理由を最後に示す。
なみのほ:波頭
いたぶる:激しく揺れ動く
きぞ:昨夜
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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多由比潟潮満ちわたるいづゆかも 愛しき背ろが我がり通はむ
- 次の歌
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阿遅可麻の潟にさく波平瀬にも 紐解くものか愛しけを置きて