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阿遅可麻の潟にさく波平瀬にも
紐解くものか愛しけを置きて

歌の意味
阿遅可麻の干潟に立つ白波のように、浅い瀬のようないいかげんな相手に紐を解いたりするものか。いとしいあなたを置いて。
鑑賞
巻第十四 東歌 3551

詞書は前の歌に続き「相聞」
 阿遅可麻の干潟に砕ける白波のように、浅い瀬のようないいかげんな相手に心を許したりはしない、いとしいあなたをさしおいてと誓う女性の歌である。ほかの男にはなびかないという強い意志が表されている。
 相聞の一首である。阿遅可麻は所在未詳の地名で、次の第三千五百五十三首にも「あじかまの可家の港」と詠まれる。
 作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。

 初句「阿遅可麻の」は所在未詳の地名で、第三千五百五十三首にも見える。
 二句「潟にさく波」の「さく波」は干潟に砕ける白波とされる。
 三句「平瀬にも」の「平瀬」は浅く平らな瀬で、いいかげんな相手をたとえる。初句からここまでが序詞である。
 四句「紐解くものか」の「ものか」は反語で、紐を解いたりするものかの意である。四句切れである。
 結句「愛しけを置きて」の「愛しけ」は「愛しき」の東国方言で、いとしい人をさしおいてと倒置によって結ぶ。字余りの句である。

ひらせ:浅く平らな瀬
出典
万葉集
前の歌
おしていなと稲は搗かねど波の穂の いたぶらしもよ昨夜ひとり寝て
次の歌
まつが浦にさわゑうら立ちま人言 思ほすなもろ我が思ほのすも