麻久良我の許我の渡りの韓楫の
音高しもな寝なへ子ゆゑに
- 歌の意味
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麻久良我の許我の渡し場の韓楫の音が高いように、噂がやかましいことだ。共寝もしていない娘のために。
- 鑑賞
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巻第十四 東歌 3555
詞書は前の歌に続き「相聞」
許我の渡し場で響く韓楫の音のように噂が高く立っているが、まだ共寝もしていない娘のことなのにとぼやく歌である。事実もないのに立つ噂への不満が、渡し場の騒がしい音にたとえられている。
相聞の一首である。麻久良我の許我は下総国の古河、現在の茨城県古河市付近とする説がある。雑歌の第三千四百四十九首にも麻久良我が詠まれ、次々歌の第三千五百五十八首にも「麻久良我の許我」が見える。
作者は未詳である。東歌は東国の人々の間でうたわれた歌とされ、方言をまじえた素朴でおおらかな表現が特色である。
初句「麻久良我の」は地名で、第三千四百四十九首、第三千五百五十八首にも見える。
二句「許我の渡りの」は許我の渡し場で、利根川などの渡しとされる。
三句「韓楫の」の「韓楫」は大陸風の楫とされ、初句からここまでが「音高し」を導く序詞である。
四句「音高しもな」の「音高し」は噂がやかましい意で、「もな」は詠嘆である。四句切れである。
結句「寝なへ子ゆゑに」の「なへ」は打消の東国方言で、第三千五百二十九首の「寝なへ子ゆゑに」と同じ句である。
からかぢ:大陸風の楫とされる
わたり:渡し場
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹が寝る床のあたりに岩ぐくる 水にもがもよ入りて寝まくも
- 次の歌
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潮船の置かれば愛しさ寝つれば 人言繁し汝をどかもしむ